劇場としての魅力を高め、
若手芸人を育成し、
スターを輩出していく

よしもと漫才劇場
の仕事

武林 裕輔

よしもと漫才劇場
中途入社・2005年入社

WORK

仕事内容

あなたの今のお仕事(現場)を教えてください

大阪の若手芸人のための劇場である『よしもと漫才劇場』の支配人をしています。劇場出番や公演設定、昇格・降格システムの育成方針を決定することが仕事です。その他、ロビー演出、グッズ制作、フライヤー制作、ホームページ、SNSを活用したすべてのお客様満足度をアップさせる運営方針、売り上げや設備投資などの予算管理も含めた全体プロデュース業務です。
支配人になって5年目、それまではマネジメントなどにいて、劇場経験はまったくなく、いきなりの支配人への異動でした。大阪の若手の劇場というと、二丁目劇場の時代からbaseよしもと等、ずっと歴史があり、そこから数々の芸人たちが巣立って行った歴史ある劇場が多い。その伝統を受け継ぎつつ、よしもと漫才劇場が2015年に誕生し、僕は二年目以降(2015年以降)を担当しています。

仕事における、あなたの役割を教えてください

劇場に関わるあらゆることが支配人の仕事です。“芸人さんが頑張れる環境をどう作れるか”、それが支配人の役割としていちばん大きなことだと思っています。そのためにはまず、大きな軸となるのが「よしもと漫才劇場という劇場をどんな劇場にするか」という運営方針の部分。若手中心の劇場だからこそ、所属している芸人さんをどう育成させるか、そこは支配人の責任と言えるでしょう。僕の場合、スターを何人だせるかというシビアな部分を重視しながらやっていますね。たくさんの芸人がいるんだから切磋琢磨していかないといけない。そういう意味で、僕は出番の差を少し強めにつけました。賞レースで活躍したり、定期的なネタバトルで上位をとったり、劇場で積極的に単独ライブなどを開催している芸人にはチャンスを多く与える。努力をしなくても出番を与えるというスタンスは僕が支配人になってからは少し厳しくしていったかもしれません。とにかく、僕の使命は、よしもと漫才劇場を日本一の劇場にしないといけないということ。よしもと漫才劇場は若手育成でスターを出すことが求められる劇場です。そのためにどうするのか、独自にどう切り開いていくかを常に考えています。

この仕事のココが面白い(やりがい)

正直、大変なことの方が多いですけど、やっぱりマンゲキメンバー(よしもと漫才劇場に所属する若手芸人)が関西の賞レースや、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの賞レースで優勝したときにはやっぱりうれしいですね。賞レースの決勝でマンゲキメンバー同士が争っているのをみると、「漫才劇場はすごいレベルが高いんだな」と賞レースに食い込んでいける芸人が育っていることに喜びを感じます。
ただ、難しいのはどうしても売れていくと、東京に行く=劇場を卒業する形になってしまうんです。それは嬉しいことでもありますが、劇場にとってはもっと頑張らないといけないところ。だから、芸人さんだけに頼るのではなく、“劇場”としての魅力をしっかり高めなければならない。目当ての芸人さんが東京に行ってしまったから足が遠のくような劇場ではなく、あの劇場はいつも面白いからと常に満席の劇場にしていかねばならないと思っています。

この仕事に求められる資質

自分の時間を費やしてでも、劇場のこと、芸人のことを考え、思うことができること。月並みかもしれませんが、つまり情熱をもっているかどうかです。考えることは無限にできます。時間を費やして劇場をよくするために何ができるか、常にこうしたらこうなるかと考え、それを実行に移していくことができる人でないと劇場支配人は成り立ちません。

仕事をする上で心掛けていることを教えてください

頑張っている芸人、結果を出している芸人、情熱のある芸人がもっと頑張れる環境をどう作っていくか。劇場としてどうサポートできるか。そこを常に意識して動いています。
具体的には、劇場が盛り上がっているという「環境づくり」に力を入れています。客席が埋まっていたほうが芸人さんはよりモチベーションが上がるはず。芸人さんに努力を求める以上は、自分たちも芸人さんが納得するような環境づくりに励まなければなりません。そのために、SNSに力を入れ、発信を多くして劇場のアピールも増やしていきました。その甲斐あって、twitterもYouTubeも吉本の全劇場の中でもフォロワー数が一位に。あとは、公演のキャスティングも工夫しました。お客さんを集められる芸人さんと名前が世に出てなくともネタに定評のある芸人さんを一緒にすることで、内容もかなりしっかりした公演になる。
環境づくりの一環として、劇場の見栄えも気を付けていますね。紙が歪んでいたり、養生テープでお客さんへのお知らせを貼っていたりはスタッフが何気なくやっていることかもしれませんが、見栄えが良いものではありません。見えているところをきれいにするだけでも、お客様に「細部までケアできている劇場=芸人さんやいろんなところにも細かく目を配っているんだろうな」と思っていただけるはずだし、そうあるべきだと思っています。細かいところもお客様はすごく見られていると思っています。張り紙ひとつとっても、ラミネートしていない張り紙ははらないなど、それほど大したことをやっている訳ではないのですが、心がけています。

EXPERIENCE

社歴・失敗談

吉本興業に入社した動機・きっかけを教えてください

大阪出身で、新喜劇がテレビでやっているのが普通というような環境で育ちました。吉本新喜劇や2丁目わちゃちゃ劇場など子供のころによく見ており、お笑いが身近にある環境だったこともあり、漠然と憧れはあった吉本興業でしたが、その後、気が付いたら自分も吉本興業の一員になっていました。もともとはマネージャーになりたいと思い、入社しましたが、劇場経験もないままに支配人になって早5年目。何があるか分からないのが吉本ですね(笑)。

吉本興業に入社して今までどんなお仕事(部署)をしてきましたか?

大阪の興行営業部、東京企業営業、東京マネジメント、大阪マネジメントなどを経て、2016年からよしもと漫才劇場の支配人に就任。

吉本興業だから味わえた経験を教えてください

劇場経験のない自分が急に支配人になることは、吉本興業ならではかもしれません。
大変なことも多いですが、劇場支配人という立場になり5年目。若手中心の劇場ということもあり、マネージャーとして担当する芸人を持つよりも、もっと広く、いろんな芸人さんと交流を持つことができる。実力で売れていく芸人、実力があるけどもうひと伸びの芸人、東京に新天地を求める芸人など様々ですが、「また劇場に呼んでください」と言ってくれる芸人さんがたくさんいるのは心強いです。そういう関係性が築けたのは、支配人になった喜びですね。

飛び上がるほど嬉しかったことは?

以前にマネージャーとして担当していたサバンナ高橋さんが『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)の番組内で、僕のエピソードをお話しされたことがあって。そのとき、見事MVS(Most Valuable すべらない話)を受賞されたのですが、その後に高橋さんが「武林のおかげで(MVS)とれたわ」と言ってくださり、わざわざお礼をいただいた時は、高橋さんのその気持ちがすごくうれしかったです。
それと、劇場支配人としては、よしもと漫才劇場から毎年、スターが誕生していることは誇らしいと同時に、うれしいことでもあります。『M-1グランプリ』では2018年の霜降り明星、2019年のミルクボーイと、『R-1ぐらんぷり』では2017年の濱田祐太郎、2019年の霜降り明星・粗品、関西のいろいろな賞レースももちろんですが、マンゲキメンバーがチャンピオンになったときは、よしもと漫才劇場の盛り上がりを見せれたような気がしてうれしかったですね。所属する他の芸人たちも彼らの活躍を見て、「頑張ればスターになれるんだ」と実感を持って夢を描けることにもつながり、劇場としての盛り上がりがさらに大きくなる相乗効果も期待できるので。賞レースを事務所のテレビで芸人さんと一緒に見ることも多いのですが、優勝した瞬間、応援している芸人さんがまるで自分のことのように喜んで、おめでとーってテレビに向かって拍手するシーンも、同じ劇場メンバーとして嬉しく思う瞬間ですね。

「やってしまった!」失敗から学んだ思い出は?

木村祐一さんを担当している時に、寝坊してむちゃくちゃ遅刻してしまったことがあります。本来なら木村さんのご自宅に行き、そこから一緒に出発する仕事だったのですが、寝坊したために急いで直接、現場に行きました。木村さんは人間としてのマナーに厳しい方ですし、100%自分が悪いことなので怒られることも覚悟していましたが、そのときはむしろ逆に「いつもちゃんとしている武林がどないした?」と心配していただき……。そのときは、マネージャーとしての真面目にやってきた今までの行動をずっと見てそんな風に言っていただけたんだなという思いと同時に、100%自分が悪い自分のことを気にかけていただき、仕事に集中する時間を奪ってしまったことを深く反省しましたね。

吉本興業で達成したいことは?

僕にとって『LIVE STAND』というものはすごく感動的で印象深く残っているんです。当日までの準備はものすごい大変でしたが、当日を迎えて、無事に終了した後の達成感は格別で。お客さんも楽しんでいたし、あのライブに関わる社員・スタッフもやりがいを感じているイベントで、僕自身、今まで味わったことのない感動を覚えました。
だから、いつか『LIVE STAND』のような、お笑い芸人だけの祭典を開催したいと思っているんです。エンターテイメントとして、芸人の価値を上げることにもつながるし、芸人が多く所属する吉本興業でしかできないことだと思うので。 そんな夢を持っているので、マンゲキのメンバーでも個別のフェスなど大規模イベント(『もっとも~~っとマンゲキFES』)を2年連続で開催しました。FES終わりで芸人さんやスタッフ合わせて200人ぐらいで打ち上げをしたのはいい思い出です。芸人さんからも「こんなことするの何年振りやろ」と言われたほどみんなが楽しんでいたので、ライブ本番はもちろん、終わった後の打ち上げの解放感も含めて、やっぱり大規模なフェスはいいなと思いましたし、いつかLIVE STANDをという思いを強くしましたね。

MESSAGE

お世話になっているあの方から

マンゲキメンバー(さや香・ラニーノーズ)へのインタビュー

【Q 武林支配人はどんな人ですか?】
洲崎:
僕が初めてお会いしたときは、当時マネージャーをされてて、凄いまじめで誠実なお方やと思ってました。今もそのままのイメージですね。あと背が高いなと。

山田:
僕にとっては恩人といいますか。舞台出番がある日に体調を崩したことがあったんですけど、支配人はすぐにそれに気づいて、薬も用意してくれて、その日無事に舞台に立つことができたんですよ。気配りが出来る方ですよね。

新山:
威圧感もありますね。僕らが一回仕事でトチッた(遅刻した)時、たぶん怒りのせいと思うんですけど、支配人の目が全部黒目になってて、相方の石井があまりの恐怖に膝から崩れ落ちたんです。

山田:
その後、立てなくなったから、片膝ついて話聞いてたんでしたっけ?

新山:
そう。でもその時も、「1回水飲み。」と、支配人はサッと水を出してくれたんですよ。そうゆう時にもケアを怠りません。

石井:
優しいだけじゃなくて、ちゃんと怒れる人です。だから支配人が漫才劇場の楽屋にくると、はしゃいでたみんなが、急に静かになりますね。

新山:
劇場の楽屋を修学旅行の宿舎だと例えると、見回りにくる生活指導の先生みたいな感じ。支配人がきたら、みんな寝たフリする。そうゆう存在感はありますね。(一同笑い)

武林:
怒るときはちゃんと怒ります。それが必要なことならば。劇場がよくなるためにはそれも必要なことなので。芸人さんが本気だからこそ、スタッフも本気を出さないといけないと思うので、芸人さんだけでなく、スタッフに対しても注意は本気でします。

【Q 武林支配人の仕事ぶりが分かるようなエピソードなどはありますか?】
洲崎:
そうですね。物事を内側からだけでなく、外側である見栄えの部分も大事にされてるのが凄いと思いますね。芸人は楽屋とかすぐに散らかすんですけど、支配人自らがロビーや楽屋を掃除もしていて、芸人たちに注意されているのは説得力がありますね。

武林:
掃除というほどでもないです。お客さんから見える部分はきちんとします。

山田:
劇場運営の他にも、SNSなどを使用して、劇場に人を呼ぶために、色々な施策を発案しているのもすごいなと思いますね。

武林:
頑張ってInstagramのフォロワーを増やしたけど、アカウント乗っ取りにあって振り出しに戻りました(笑)。

新山:
でも、想像も出来ないくらいの仕事量をこなしているはずなのに、体調を壊しているところを見たことがないです。

洲崎:
芸人に尽くしてくれてるけど、家族サービスはしてるんかな。

新山:
たまに近くの某大型ショッピングモールで見るで。(一同笑い)

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