「芸人が伸びていく瞬間に立ち会える」
劇場支配人の醍醐味は
そこにあると思います。

神保町よしもと
漫才劇場の仕事

北畠 秀昭

劇場事業本部 東日本劇場センター神保町よしもと漫才劇場
1996年入社

WORK

仕事内容

あなたの今のお仕事(現場)を教えてください

神保町よしもと漫才劇場 にて「支配人」をしています。
この“神保町よしもと漫才劇場”は、2020年1月にオープンしました。芸歴7年目以下の若い芸人さんが毎日のようにライブでネタを競いつつ、腕を磨いています。ネクストスターになるような原石がたくさん眠っているので、そんな彼らをうまく掘り起こし、芸を磨くことを目的に創設されたばかりの新しい劇場です。
劇場としてはネタに強い子を生み出していくことを目的に日々バトルライブを行っていますが、YouTubeなどの道もあるこの時代なので、ネタ以外の才能もたくさんあるはず。ですから、あらゆる角度から芸人の魅力を探ること、そして、彼らになんらかの“きっかけ”となる気付きを与えられるようなライブを企画しています。

仕事における、あなたの役割を教えてください

支配人として、お客さんに安全に楽しんでもらえる劇場運営をしつつ、プロデューサーとして、スタッフとも相談しつつ公演内容を決めています。コロナ禍の現在においては、タレントの安全を守りつつ、運営面でクラスターを発生させないことも配慮しなければなりません。
プロデューサーという立場で言えば、お客様に喜んでいただける公演内容を考えることも大事にしていますが、劇場をともに作っていく芸人自身のことを支配人である私が知らないというのでは本末転倒だと思うので、劇場で行われている公演はなるべく見るようにしています。とくにオーディションライブは極力見るようにして、僕も審査をしています。
若手芸人がメインの劇場だけに、次に輝くスターを出していくのが仕事ではありますが、一発屋で終わらせず、芸人として一生食べていける子をどれだけ輩出できるか、そこが僕の使命なのかなと思っています。ここで芸を磨き、“地肩の強い芸人”をたくさん世に出したいですね。

仕事において求められる資質

いろんな資質が求められるかとは思いますが、プロデューサーも兼ねた支配人という意味では、芸人が今、どんな状況でどんなネタをしているか自分の目で把握することが大事なのかなと思います。原石と言える彼らが今どんな状態かを自分なりに把握しておく。そこを見ずには、まずは何も語れないと思っています。そうしておくと、1か月後にみたとき、「あ、この子たち成長してな」というのが分かるようになる。バトルライブの上り下がりの結果だけでなく、「今、苦しんでいる時期だけど、今後伸びるだろうな」という事を感じることがあるんですよね。

仕事のここが面白い(やりがい)

夢を持って芸人になった彼らが、頑張って切磋琢磨してネタを作り出し、舞台でウケたら喜び、スベったら凹む。そういう姿を目にすると、自分も彼らのために何ができるかと考えます。 芸人が伸びていっていると感じる瞬間に立ち会えることは劇場勤務の醍醐味だと思います。「あ、これもう見えている世界が少しあがったんだろうな」とか、醸し出す雰囲気が変わってきたり、そういうのが目に見えてわかるときは自分のことのようにうれしく思います。

仕事をする上で心掛けていることを教えてください

誠実に、奇をてらわず、嘘をつかないこと。相手の立場にもなって一度考えること。
そして、一つ一つの仕事に対しての目的と優先順位を整理して進めること。

EXPERIENCE

社歴・失敗談

吉本興業に入社した動機・きっかけを教えてください

もともと、“文化を作る”ということに興味がありました。よしもとは“笑い”という文化を作っているリーディングカンパニーだと感じ、その一翼を担いたいと思って入社を志望しました。大阪出身なのでもともと新喜劇を見て育って来たので、「よしもと=面白そう、楽しそう」という軽い意識だったかなと思います。

吉本興業に入社して今までどんなお仕事(部署)をしてきましたか?

劇場勤務(NGK、うめだ花月、baseよしもと、神保町)マネジメント、映像制作、新喜劇、企業営業、映画セクション、よしもとミュージック、神保町花月などを経て、2020年1月から「神保町よしもと漫才劇場」現職に就く。

吉本興業だから味わえた経験を教えてください

吉本興業という会社は常に進化し続けており、仕事をする上で自分が成長しないといけない、せざるをえない環境を常に作る、前進し続ける会社だと思います。僕が入社した当時と今を比べると、手掛けている業務の幅もかなり広がり、多岐に渡っていて、まるで別会社くらいに変わっています(笑)。芸人さんの数も多いので活躍する場を広げるという意味では自然とそうなるわけですが、いい意味で世の中の流れにきちんと対応しているなと思いますし、自分自身も成長させてもらっているなと実感します。 その一方で、創業のころからの“劇場を第一に”という根幹の部分もしっかりと守られている。普通のプロダクション経営だけでは、今のコロナ禍の時代に、業務はもっと打撃を受けているはず。でも、そうならないのは、進化する部分と守り続ける部分、その両輪がうまくまわっているからだろうなと思います。

飛び上がるほど嬉しかったことは?

飛び上がるほどではないですが、自分が担当プロデューサーとして携わった現場が無事終わればうれしく、携わった芸人さん、関係者から直接お礼をちゃんと言われると疲れは吹き飛びます。 入社3年目で、みうらじゅんさんのお力添えも頂き、大木こだま・ひびきさん漫才イベントを東京で開催したことがあり、その担当をしました。公演は無事に成功し、打ち上げも終わり、ホテルに戻って部屋で「無事に終わったなぁ」とようやくホッとひと息ついたその時、ノックの音が響いて。扉を開けてみると、こだまさんが缶ビールとおつまみを持って立っていらして「ご苦労さん。明日も早いから寝や」と労ってくださった。すごくうれしくて、そのときかけてくださった言葉はずっと忘れられません。
ただ、その話にはオチがありまして。次の日は朝イチの飛行機だったんですけど、僕が寝坊してこだまさんに起こしてもらいました……(笑)。そんなことも含めて忘れられない思い出です。

「やってしまった!」失敗から学んだ思い出は?

具体的な「やってしまった!」は寝トチリです。100%自分が悪く、謝り続けるしかありません。また、失敗を後々気づくことも多く、見えにくい失敗は多々しており、自分の目線だけで物事を考えることは戒めようと日々思っています。
入社後に大阪のなんばグランド花月に配属になって、当時は、すごくのんびりしている部署だったんですよね。休みもしっかりあるし、時間もあるので当時の支配人に「バイトしてもいいですか」と聞いて、めちゃくちゃ怒られたこともあります。

吉本興業で達成したいことは?

達成とは違うかもしれませんが、携わる芸人さんの活躍の場、可能性を拡げたい。そのために、一生、芸人として頑張ってもらうサポートをきっちり、やりきりたいと思っています。 まずは、支配人として、神保町よしもと漫才劇場を、芸人がここをホームと思ってくれる劇場にしていきたいですね。毎日の公演を丁寧にやっていくことで、自然に芸人にとっても、お客さんにとっても大事な存在になっていくはずなので。そうやっていくことで、神保町という町のイメージと同じような“骨太”な芸人さんが育って行けばいいなと思っています。
もともと“笑いという文化”を作りたいと思って入ったわけですが、今、思うのは“笑いという文化”を作るのは誰でもなく芸人さんであり、僕が作るとはおこがましい。ただ、笑いという文化を作ることには携われているのかなと感じています。

MESSAGE

お世話になっているあの方から

ぼる塾さん インタビュー

【Q 若手の芸人さんにとって、この劇場はどんな場所ですか?】
はるか:
支配人やスタッフさんとすごく近い!
支配人さん自ら舞台を見てくれて、終わったら感想やアドバイスもしてくれるので、とてもありがたくて、芸人自身も劇場に来るのがすごく楽しいです!
あんり:
私もそうですね!バトルライブの終わりに、作家さんがだめ出しをしてくれるんですけど、その時に支配人の北畠さんも必ずいてくださるんです。最後まで、一緒に聞いてくれています。
はるか:
神保町以外の劇場でそんなことあるのかな?だめだしを聞いてくださるなんて。若手芸人でもバイトですぐ帰るのに!支配人さんが最後までいてくれるというのはとてもありがたいです!
田辺:
神保町よしもと漫才劇場は、芸歴7年目までしか出演できないんですね。私自身は、芸歴8年目なのですが、この2人と組むことによって7年目にとして、舞台に立てて、北畠さんに会えて、私は幸せです。
はるか:
北畠さんが認めてくれなかったら、出れなかったもんね?
「田辺はだめだよ!」って言われたら出演できないところだったよね!

【Q 若手の芸人の劇場の支配人をやって行くうえで気を付けていることは?】
北畠:
ネタを見なければ、わからないので、見れるときは極力見ようと思っています。オーディションバトルはすべて見るようにしています。
ぼる塾:
うれしい! ありがたいですね、かっこいい! 正直モテていますよね。
はるか:
やっぱり、女芸人は楽屋でゴロゴロしたりもしているんですが、北畠さんが通りかかるとやっぱりみんな整え始めますよね!化粧直したりも!厳しいから緊張してということではなくて、やさしいからこそだよね!
田辺:
若手は、支配人と話す機会がなくて、なかなか見つけてもらえないんですけど、今の若手はここに出られることによって、支配人の目にもとまるチャンスがあるというのはすごくありがたい。
はるか:
1~2年目の時は社員さんと話をするときは、やっぱり少しビビってしまうところがあって。自分たちが会社のために何か役に立てているわけでもないし。でも、神保町は支配人さん含め、スタッフさんのほうから歩み寄ってくれて、本当にありがたい。 1~2年目の時は「知らない」って言われることが当たり前なのに、支配人が自らオーディションライブも見てくれて知ってくれているというとてもありがたい環境です!

社員から知る吉本興業